欲望解剖
- 作者: 茂木健一郎,田中洋,電通ニューロマーケティング研究会
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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茂木氏の本って、
脳科学の素人でも、
興味深く読めるところがいい。
おそらく、
その道の著名な専門科の方々からしたら、
ひそかに外道呼ばわりされてるかもしれませんが、
脳科学という視点からマーケティングの諸問題を検討していく姿勢とか、
非常に編集的で面白い。
芸大で作品作ってた経験からすると、
特に「クオリア(qualia)」って概念がうれしい存在です。
クオリア(qualia)とは、
人間が感じる質感を数値化することは難しく、
商品やアートの価値を決めるのに大きく関わっている感覚のこと。
訳語は「感覚質」。
「イチゴのあの赤い感じ」、
「空のあの青々とした感じ」、
「二日酔いで頭がズキズキ痛むあの感じ」、
「面白い映画を見ている時のワクワクするあの感じ」といった、
世界に対するあらゆる意識的な感覚そのものである
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A2
言葉で伝えることのできないことを表現する、
と言ってしまうと否定的な伝わり方をしてしまうんですが、
クオリアっていう、ひとつの名詞にしてくれると、
それのなかにポジティブなイメージが集約される記号みたいなものになっていく。
もう一方で、
マーケティング的に差別化戦略って言ってることも、
実は、
ニセモノが登場してはじめてホンモノが何か明らかになるって言ってはります。
なるほどと思った例が、
シャネルはあふれるニセモノを排除しないことで、
逆に本物として価値を高めていった。
マーケティングの本で読む差別化戦略より、
はるかに刺激的な表現と言える。
ドゥルーズの「差異と反復」を彷彿とさせます。